2022年5月20日(金)千葉県柏市柏の葉にて地域初となるInternational gatheringを開催。東京大学大学院柏キャンパスが近くにある環境を活かし、世界中から来ている留学生や硏究者の経験やアイデアを地域の方にもシェアし交流を図る目的で開催致しました。
当日は、東京からエンジニアやリクルーターをされている方など留学生や研究者以外にも20名を超える外国籍の方にも参加頂き地域の日本人の方々とお互い交流を図っておりました。
今回のInternational gatheringの概要はこちらから。
国際構想キャンパスとしての取り組み
今回のイベントの開催に際し、街の情報を発信する「柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)」と共催、また、三井不動産株式会社にもご協力を頂き、「公民学連携で街づくりを推進し、多様な働き方を」をコンセプトに作られたオフィス、「KOIL TERRACE」ラウンジをご提供頂きました。
今回のイベントを開催するにあたり、あまり知られてはいない事。それは、大学院にて日々学んでいる方々は20代から中には50代の方もいるという事です。世界中から集まってきた素晴らしい人材。
年齢に関わらず自分のやりたい事を再度見つけ追求する姿。そんな考え方や価値観に触れる事が出来るイベントにしようと企画を致しました。
キャリアを捨て再び学ぶ事を決心。子育てしながら勉学を追求するパパ。
今回のイベントでは、お二人のスピーカーに彼らの経験を元に「子育てしながら勉学を追求する理由」をテーマにスピーチをして頂きました。
一人目のスピーカーは、サモア出身のRichard Crichton(リチャード・クライトン)さん。
東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。海面上昇や海洋温暖化などの気候変動が、社会や海洋生物の繁殖行動に与える影響を中心に、サステナビリティ・サイエンスの修士号と博士号を取得。
また、レジリエンス、ジェンダー平等、太平洋先住民の文化に関する研究も行っております。
現在、国連訓練調査研究所(UNITAR)に勤務。2015年に来日する以前は、国際連合食糧農業機関(FAO)、国連開発計画(UNDP)、ニュージーランド高等弁務官事務所(大使館)などの国際機関に20年近く勤務。フイジー人の妻と二人のお子さんの子育てをしながら勉学に励んでおりました。
リチャード氏は、高校卒業後フィリピンに2年間ボランティアで奉仕後ハワイの大学に進学。
その後、上述の通り国連を経てニュージーランド大使館に勤めるなどキャリアを重ねます。
端から見れば順風満帆な人生。しかし、彼には20代の頃から心のどこかで大学院で気候変動や環境についてもう一度勉強してみたい!という想いを抱いていたみたいです。
そんな中、2015年に転機が訪れます。日本政府から大学院への全額奨学金が授与されるチャンスを掴み
母国で歩んだキャリアを捨て来日する事を決心。そして東京大学大学院に入学。
33歳で下した決断。そこから5年かけて、母国サモアの海面上昇について研究し修士号と博士号を取得しました。残念ながら、このイベントの一週間後に母国に家族と帰国してしまいましたが彼の熱心な姿と人柄には多くの留学生も影響を受けたようです。
母になっても学びを諦めない!異国での母親業と私の夢
2人目のスピーカーは、パキスタン出身のSadaf Taimur(サダフ・タイムアー)さん。
2017年に来日し東京大学大学院にて修士号を取得。現在博士課程在籍中。(サスティナビリティ学)「持続可能な開発のための教育」をテーマに、中学生の息子の子育てと、研究を両立。2016年にドバイで開催された「教育アワード」にて賞を受賞。翌年2017年に行われたG20サミット(ドイツ)にて、持続可能な開発のための教育に関するG20首脳への提言に携わるなど、多岐にわたり活躍中されております。
また、来日前はアメリカのバージニア大学のダライラマの研究機関にて、パキスタン女性のエンパワーメントに関するプログラムを実施し、そのプログラムを実施するにあたり訓練を受けるなど自国の為、未来ある子ども達の為に研究を続けております。
来日する前には既に息子が誕生し、子育てと研究を並行して行っていた彼女。パキンスタンにいた頃は、母親含め家族の援助を受けながら子育てと研究を続けていたが、日本では身近に頼れる人もおらず初めはものすごく大変だったとの事。スピーチでは、母親として研究を続けてきた苦悩や時間管理のアドバイスを参加者に送り子育て世代の参加者の皆様は頷きながらスピーチに耳を傾けておりました。
今後の可能性
彼らと対話していると、自分が本当にやりたい事は何なのかそんな事を気づかせてくれる気がします。学生の内から本気で学びたいものや、やりたいことを見つけるのは難しい事です。
社会に出て、今まで知らなかった世界に足を踏み入れ、今まで出会う事のない人々に触れ、そこでようやく自分が本当に何に興味があるか発見出来る人は多いのではないのでしょうか。
世界のスタンダードからすると、学校は既に10代20代前半の人だけが学ぶ場所ではなく、年齢関係なく自分が新たにやりたい事、追求したい事を見つけた時に再び学びに行く場所。そんな事を彼らを通して学びました。
日本人でありつつ、グローバルに活躍する。それはただ単に英語を話す事ではなく、彼らの価値観に触れ今までの生き方を見直す。そして今までなかった物を取り入れ、視野を大きく広げてみる。そうする事で、何の為に言語を習得するのか見えてくる気がします。
本来このイベントは、3月に開催を予定しておりましたがコロナにより延期。しかし、リチャードさんが5月下旬には帰国すると決まっていたので何とか彼の経験を共有頂きたいという事で開催に漕ぎつけました。
今回の2人のスピーカーだけではなく、この地域には素晴らしい経験をされた人材が世界中から来ております。共催頂きましたUDCKや、場所をご提供頂きました三井不動産には改めて感謝し、この地域だからこそ出来る事、そんな機会を提供出来るようこれからも継続して活動していきたいと思っております。