こんにちは、GlobalBunny代表の大舘です。先日、母校である青森県立八戸西高校で、私にとって非常に意義深いイベントを開催しました。硬式野球部の後輩たちと一緒に、AIを活用し、質問力を考えるワークショップを行ったのです。今回は、その経緯や成果、そして協力いただいた専門家についてお話しします。
※ワークショップの内容はデーリー東北新聞社より記事にして頂きました。記事はコチラから。
なぜAIと野球を融合させようと思ったのか
母校への恩返しと未来への投資
私自身、八戸西高の硬式野球部でプレーしていた経験があります。その時の経験が今の私を作っていると言っても過言ではありません。だからこそ、後輩たちにも素晴らしい経験をしてほしい。そして、彼らが社会に出た時に役立つスキルを身につけてほしい。そんな想いから、このワークショップを企画しました。
テクノロジーが変えるスポーツの未来
私が代表を務めるGlobalBunnyでは、東京大学大学院の留学生や研究者と住民をつなぎ、子どもたちや大人向けにグローバルな環境を創り出す活動をしております。また、最近では、AIを活用できる人材育成に取り組んでいます。その経験から、AIがスポーツの世界にもたらす可能性の大きさを強く感じていました。特に、公立高校のように限られた練習時間を最大限に活用するという点で、AIは大きな力を発揮すると確信しています。
専門家との協力:金子晋輔弁護士の参加
今回のワークショップでは、弁護士の金子晋輔さんにも講師として参加していただきました。金子さんは、日本とニューヨーク州の弁護士資格を持つ、テクノロジー法務の専門家です。法律事務所Verseの代表を務めており、ICT、DX、UX、AIなどテクノロジーに関する企業法務を専門としています。
金子さんの経歴と専門性
金子さんの経歴は非常に多彩で、以下のような経験を持っています:
- 外資系法律事務所での法務経験
- 外資系コンサルティング企業での戦略立案
- スタートアップでの経営参画
- 独立して法律事務所Verseを設立
この幅広い経験を通じて、金子さんは多様な視点からAI活用の可能性を検証し、テクノロジー企業の法務支援から新規事業の立ち上げまでを幅広くサポートしてきました。
金子さんのAI普及活動と教育経験
金子さんは、法律の専門家としてだけでなく、AI普及活動や教育にも積極的に取り組んでいます:
- ウェビナーや企業での勉強会の登壇
- 個人への1on1指導
- 小学生向けワークショップの開催
- 予備校講師(英語)としての経験
- 大学でのキャリアワークショップの実施
- 人事担当者向けワークショップの開催
これらの経験を活かし、金子さんは部員たちにAIの可能性と課題について、年齢に適した形で分かりやすく説明してくださいました。
ワークショップの内容と成果
8日に開催されたワークショップには、硬式野球部の1、2年生約30人が参加しました。彼らを7グループに分け、以下のような内容に取り組みました
- AIの基本概念と可能性についての講義
- AIツールを使った練習メニューの作成
- 専門的な質問に対するAIの回答の分析
- AI活用における法的・倫理的考慮事項の基本的な理解
部員たちは、「強いボールを投げるコツ」や「効果的な打撃フォーム」についてAIに質問し、その回答を分析しました。金子さんは東京からZOOMを通し参加。AI活用に関する使い方、質問の仕方を丁寧にアドバイスをいただき、部員たちはAIの提案を批判的に評価し、実際の練習にどう活かせるかを考えました。AIは、質問する側の「問い力」により出力される成果が大幅に変わってきます。どのように、なぜ、を深堀し自分たちが聞きたい内容にたどり着く事でようやく野球にAIを取り入れる準備ができるのです。
2年生で主将を務める敦賀くん(16)は、このワークショップについて次のように語ってくれました:
「自分たちが知らない練習方法をさまざま知ることができた。AIの可能性と同時に、使う側の責任についても基本的なことを学べて良かったです。これからの練習に活かしていきたいです。」
今後の展望
このワークショップを一回限りのイベントで終わらせるつもりはありません。今後も定期的に母校を訪れ、部員たちのAI活用・野球分析をサポートしていく予定です。金子さんにも継続的にアドバイスをいただき、スポーツ×AI×人材育成でともに地方の可能性を探っていければと考えております。
最後に
このワークショップを通じて、私は改めてテクノロジーの可能性と、若い世代の柔軟性を感じました。同時に、金子さんの参加により、AIを責任を持って適切に活用することの重要性の基本も学ぶことができました。
AIは決して人間の指導者や選手の経験を置き換えるものではありません。しかし、それを適切に活用することで、私たちは新たな高みに到達できるはずです。法律の専門家の知見も参考にしながら、テクノロジーを正しく使いこなす基本的な力を身につけることが、これからのスポーツ界にとって重要になると確信しています。
八戸西高野球部の挑戦は、まだ始まったばかりです。彼らがAIを活用してどのように成長していくのか、そしてこの経験が将来どのように生きてくるのか、私は今からとてもワクワクしています。母校の後輩たちが、新しい時代の野球を切り拓いていく姿を、これからも誇りを持って見守り、サポートしていきたいと思います。